－　かさいさんは、今回キョウユウにどんな印刷を依頼したのでしょうか。

キョウユウさんには、自費出版したはじめての詩集『未見の園』の印刷、製本をお願いしました。内容は次のとおりです。

わたしは「ものをつくること」が好きで、今回も、手しごとのたたずまいを持った詩集にしたいと思っていました。まず、しおりを自作してつけています。糸は草木染めで、糸の先には野草「数珠玉」の実を結んでいます。この実は、鎌倉の自宅ちかくで、集めたものです。しおりと数珠玉は、100部の本、一冊一冊に自分でつけています。

詩集をつくるにあたって、全体のイメージに透明感がほしいと思っていました。そのため、カバーにはトレーシングペーパーを使いたかったのです。ただ、トレーシングペーパーは非常に扱いにくい紙だそうで、今回は、キョウユウさんにいろいろご助力いただきました。

－　キョウユウに質問します。トレーシングペーパーのカバーを具体的にどう実現したのですか。

トレーシングペーパーは、その柔らかな風合いからは想像しづらいのですが、とても固く切りにくく、「機械で本に巻きつけにくい」という難点があります。カバーとして使うには少々、やっかいな紙です。

まず「切りにくい」という問題については、「あと少しで研ぎに出す」という時期の刃を使って、刃こぼれ覚悟で切りました。どうせ、その後すぐ研ぐので、まあ、いいかというかんじです。

次の「巻き付けづらさ」という点については、かさいさんと相談の上、「今回の価格では、機械によるカバー巻き付けは無理。それはあきらめる」とし、そのかわりに「裁断したトレーシングペーパーを片側だけ折った状態で納品する」「もう片側を折る作業と、本にカバーを取り付ける作業については、かさいさんにお願いする」ということにしました。

－　今回、印刷会社にキョウユウを選んだ経緯は？

わたしは、長く出版関係の仕事をしてきました。けれども少部数の私家版をつくるのは初めてのことで、どうつくっていけばいいのか、やはり最初は手探りでした。

詩集のかたちについては、自分の中ではっきりとしたイメージがありました。それは、限られた数種の紙やテンプレートから選んで発注する印刷会社では、叶いません。だから、紙やサイズのカスタマイズが可能な印刷会社を選びたいと考えたのです。

それを実現してくれる印刷会社をインターネットで探していたとき、友達から「ここいいかも」と紹介されたのがキョウユウさんです。ホームページを見ると、豊富な選択肢から紙を選べて、さらには「事前にできあがりのサンプルを見せてくれる」とあります。それは何とも助かる話です。それだけで失敗の確率がグッと減ります。

詩のイメージに合うナチュラルな本文用紙、トレーシングペーパーのカバー、B6変型という判型、草木染め糸のしおりなど、今回はいろいろやりたいことがありました。キョウユウさんはそういうことが、ぜんぶ相談できそうでした。ホームページや電話対応からも「相談してください」オーラがあふれています。ここならだいじょうぶと思えました。

今回は部数が少ないこともあり、オンデマンド印刷になるだろうと思っていましたが、実はそこが不安ポイントでした。オンデマンド印刷では、いかにもトナーでテラテラした、安っぽい仕上がりになるイメージがあったからです。表紙には水滴の写真を使っていますし、文字主体の本文は、書体の印字のトーンがとても大切なのです。この微妙な色合いや印字を、本当に出してもらえるのかなあと。

でも、いい紙を提案していただき、サンプルで確認すると、とてもいい発色でした。最近はオンデマンド印刷も進化していることがよく分かりました。

結果、キョウユウさんのおかげで、イメージ通りの詩集を作ることができました。ほんとうにありがとうございます。