アニマ 赤城晴康 氏に、自費出版した小説、「幻影ヲ駆ケル太陽」の印刷をキョウユウに依頼した経緯について詳しく聞きました。
アニメのスピンオフ小説の印刷を依頼
- 今回、キョウユウにはどんな印刷を依頼したのでしょうか。
2013年に私はTOKYO MXなど全国で放映されたアニメ「幻影ヲ駆ケル太陽(以下 『幻影ヲ~』)」の原案・原作を担当したのですが、このたび、そのアニメをもとにした同名のスピンオフ小説を自費出版することになり、キョウユウにはそれの印刷を依頼しました。
今後はコミケや通販などで、主に「幻影ヲ~」アニメのファンに向けて販売していきます。
小説本の仕様は、「B6版、全160ページ(カラー12P)、表紙カバー、帯つき」というものです。ファンの方が手に取った時に満足感を持てるよう、小説2冊組にCDも加え、特製ケースに梱包するなど、凝った作りの本に仕上げました(※)。
※ 特製パッケージおよびCDジャケットの印刷はキョウユウではありません。
本作りで気をつけたこと
- 今回の本作りでこだわった点を教えてください。
今回こだわったのは次の5点です。
- 1.「商業印刷クラスの仕上げにする」
- 2.「帯、表紙カバーをつける」
- 3.「カラーページの美しい発色」
- 4.「特製ケースにぴったり入る大きさにする(全体の厚さを必ず28ミリ以内に)」
- 5.「読みやすい紙質に」
商業出版物と同じレベルに仕上げたい
- 気をつけた点(1)、「商業印刷クラスの仕上げにする」とは。
今回の販売物は「本2冊+CD」のセットで、価格は3500円です(この価格でも、制作部数が少ないので、実は損益分岐点ギリギリなのですが)。これだけの価格で販売する以上、それに見合った装丁、パッケージングにしなければと思いました。
今回の本は、自費出版であり、発売場所もコミケなどになるので、その意味では「同人誌」というジャンルにくくられるのかもしれません。しかし作る側としては、内容・装丁にいっさい妥協せず、「商業出版レベルと同等、あるいはそれ以上」というレベルまで高めることを目指しました。
表紙カバーと腰帯は必須
- 気をつけた点(2)、「帯、表紙カバーをつける」
商業出版レベルを確保すると決めた以上、本に表紙カバーと帯をつけることは必須でした。印刷会社を探すときも、それを条件ににネット検索しました。
しかし意外にもそれに対応できる印刷会社はなかなか見つかりませんでした。多くの会社が「表紙も帯もNG」でした。「表紙OK」という会社をやっと見つけても「帯はNG」でした。「表紙も帯もOK」という会社は、いろいろ調べても結局キョウユウ 1社だけだったのです。
多くの印刷会社が表紙カバーや腰帯の印刷を敬遠する理由
- ここでキョウユウに質問です。多くの印刷会社が帯や表紙に対応しないのはなぜですか。
以下、あくまで「私の推測」ということでお答えします。
ひとことでいうと「表紙カバーや帯は、面倒なのでやりたくない」ということだと思います。
ふだん商業チラシやパンフレットの印刷を中心に受けている印刷会社にとっては、表紙カバーの印刷は変速的な仕事になるので、敬遠されがちです。
- ここでキョウユウに質問です。多くの印刷会社が帯や表紙に対応しないのはなぜですか。
以下、あくまで「私の推測」ということでお答えします。
ひとことでいうと「表紙カバーや帯は、面倒なのでやりたくない」ということだと思います。
ふだん商業チラシやパンフレットの印刷を中心に受けている印刷会社にとっては、表紙カバーの印刷は変速的な仕事になるので、敬遠されがちです。
また表紙カバーの印刷には、それに付随して「カバーを表紙に取り付けて、両端を折りたたむ」という、印刷以外の「取り付け作業」が発生します。これを数百部~数千部にわたって手作業で行うのは無理なので、専用の機械を使うことになりますが、しかし大半の印刷会社はそうした特殊な機械を持っていません。
(※ 表紙カバーOKという会社でも、「印刷はしますが、本へのカバー取り付けは、お客様の方でお願いします」という形で対応するところがあるのはこのためです)
- 「表紙はOKだが帯はNG」という会社があるのはなぜですか。
まず帯も、表紙と同様、「両端の折り曲げ」「本への取り付け」という作業が発生するので、やはり面倒です。
加えてもう一つの理由としては、やや専門的な話になるのですが、「帯の印刷は通常『特色1色』なので難しいから」ということがあります。
大きくは、特色1色というのは印刷会社の側からすると、「ある種の一発勝負」となるので、技術が確かでないと引き受けられません。しかし帯の印刷は単価は決して高くありませんし、自費出版の場合は部数も多くありません。
というわけで多く印刷会社にとって帯の印刷は「単価が安い割に、めんどうな仕事」となるので、やはり受けたがらないのです。
なおキョウユウでは、特色指定の技術・経験、そして帯や表紙カバーの取り付け機械も保有しております。「自費出版だけど、表紙カバーも帯もつけたい!」という皆様は安心してご相談ください。
意図したとおりに発色させたい
- 気をつけた点3.「カラーページの美しい発色」とは。
今回はアニメーションのスピンオフ小説なので、イラスト付きカラーページを12ページ設けました。本文160ページの小説としては多い方だと思います。
もちろん、これらカラーページは美しい発色である必要があります。版下データは私が作成しているので、パソコン上での発色は自分でチェックできます。しかし印刷した時に、私の意図通りの発色になるかどうかはまた別の話です。
この懸念はキョウユウの、「印刷サンプルの事前オンデマンド印刷」というサービスを使って解決できました。これは「色校正が追加料金なしでできる」ということになり、とても助かりました。
全体厚さは必ず28ミリ以内
- 気を付けた点4.「特製ケースにぴったり入る大きさにする。厚さは必ず28ミリ以内」
今回の本は「2冊+CD」という構成で特製ケースに収めるので、すべてのサイズがケースにぴったり合っている必要があります。もしサイズ間違いで本が入らなかったら悲惨です……。
さらに厚さは「全体で28ミリ以内」というのも絶対条件でした。これは、発送に使う「レターパックライト」に「厚さ30ミリ(3センチ)以内」という制限があるためです。
この厚さ条件をクリアーするには、理屈上は「印刷会社にサイズを伝えて、そのとおり印刷してもらえればいい」ということになります。しかし理屈はそうでも実際どうなるかはやはり心配です。
その点、協友印刷は、事前に「本の仕上がりサンプル」を提出してくれます。できあがったサンプルをケースに差し込んんだところ無事に収まったので安心できました。
本文を読みやすくしたい
- 条件5.「読みやすい紙質に」とは。
本文の紙は最初、「真っ白な紙」を予定していました。高級感を出したかったからですね。しかしあるとき「真っ白い紙は読んでいて目が疲れる」ということに気づいたので、クリーム色の紙に 変更しました。
冷静に考えると、商業出版の小説でも紙は、「少し黄みがかったクリーム色」です。これは実際の印刷より前に、キョウユウに相談して気づいてよかったと思う点です。
良い寡黙さ、良くない寡黙さ
- 今回のキョウユウの仕事ぶりへの評価、感想をお聞かせください。
キョウユウに最初相談したときは、印刷総責任者の菊地登志雄さんにご対応いただきました。
菊地さんは寡黙な方でこちらから「○○はできますか?」と質問しても「できます…」と淡々と答えるだけでしたが、それがかえって好印象でした。
私はアニメCG制作という仕事柄、これまで外部会社やフリーランスに仕事を依頼する機会が多くあります。その経験からいうと、質問に対する回答があっさりしている人の場合、「この人、だいじょうぶかな…」と不安になるときと、「この人、自信あるから無駄口叩かないんだろうな」と納得できるときの二通りがあるのですが、菊地さんは後者の「自信がある人」の方なんだろうなと直感できました。
実際の仕事ぶりも、その期待通りの確かなものでした。依頼してよかったです。
先輩ユーザーからのアドバイス
- いま協友印刷に同人誌などの印刷を依頼しようと考えている人に向けて「先輩ユーザーからのアドバイス」などあればお聞かせください。
印刷は一発勝負なので、対応が親切なところ、相談できるところに頼むのがいいと思います。
印刷は、電子データと違い、いったん刷ったらもう修正できません。だから印刷会社には自分の希望する仕様を正しく伝える必要があるのですが、それは素人にはほぼ不可能です。
なので、印刷の専門知識がなくても「普通のことば」で相談できる会社、そして印刷前に、仕上がりサンプルを見せてくれる会社に依頼するのがよいと思います。
今後の期待
- キョウユウへの今後の期待をお聞かせください。
今回、特製パッケージの印刷は別の会社に頼んでしまいましたが、後から聞いたところ、キョウユウでも対応可能とのことでした。だったら最初からキョウユウにまとめて依頼しておけば管理の面倒がなくてよかったですね。今度、機会があるときは検討しようと思います。
今回、よい印刷をしてくださりありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
アニマのホームページ
GENEI SERIES OFFICIAL WEBSITE http://www.geneino.com/
GENEI WEB SHOP http://ms00460764.my-store.jp/
※取材日時 2016年3月
※取材制作カスタマワイズ