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熊倉千之 様

アンカット製本という、今はほtんど見られない特殊な形式の印刷を依頼しました。
熊倉千之さんについて:日本の日本文学・日本語学者(80歳)。サンフランシスコ州立大学卒業。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得、ミシガン大学、サンフランシスコ州立大学などで日本語・日本文学を教える。1998年に帰国後、東京家政学院大学、金城学院大学で教授職につく。2007年に退職の後も自主的に研究、執筆活動を続ける。著者に『漱石の変身─『門』から『道草』への羽ばたき』筑摩書房(2009)、『日本語の真相<話者のイマ・ココ>を生きることば』筑摩選書(2011)、『『源氏物語』真相の発掘─秘められた詩歌の論理』笹間書院(2015)など。(※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

アンカット製本の自費出版の印刷を依頼

- 熊倉様はキョウユウにどんな印刷を依頼したのでしょうか。

キョウユウにはこのたび自社出版した書籍、『『紫式部集』のちから相撲』の印刷を依頼しました。


この本は本文ページを「アンカット」で製本したことが大きな特徴です。

『『紫式部集』のちから相撲』表紙

アンカット製本とは?

- 「アンカット製本」とはどういうものですか。

アンカット製本とは、従来のフランスのペーパーバックで一般的だった方式です。アンカットの本では、本文が数頁ごとに「袋とじ」の形になっており、本を読み進めるときは、その部分をペーパーナイフで切り開く必要があります。たとえば、8頁ずつが袋とじの240頁の本を完読するには小口に30回、また天部に60回ナイフを入れていくことになります。


私はアンカットの本を読むときの、ナイフを入れるごとに読書が一歩一歩進んでいくような味わいを愛好する者です。買ってきたばかりのナイフを入れていない本はまだ「素材」にすぎず、ナイフを入れて読み進めることで、初めて「自分の本」になる、そんな感覚です。


ただそんな手間を楽しむ人は今や少数派です。日本はもとより海外でも、商業出版でアンカットの本が出ることはほぼありません。


私はほぼ10年前に大学を退官し、いま齢(よわい)80です。もう世間の趨勢など気にせず自分の好きなことを好きなようにやりたい。よし、この本はアンカットで製本しようと心に決めました。

アンカットの本を、1ページずつ切り開く様子(写真4枚)

印刷会社をどうやって探したか

- 印刷会社はどのように探したのでしょうか。

印刷会社はネットで検索して探しました。


これまで何冊か本を著しましたが、印刷はいつも出版社まかせで、自分で手配するのは今回が初めてのことでした。


印刷会社えらびの基準は第一に「アンカット印刷に対応してくれること」で、第二に「その上で価格が手頃なところ」でした。まずは検索で見つかった印刷会社に「アンカット印刷はできますか?」と片端からメールや電話で問い合わせました。


印刷会社の反応はさまざまで、中には「アンカット印刷、何ですかそれ?」と、まるで分かっていないところもありました。また一応知ってはいるものの「そういう印刷は普通やらないので…」と面倒がって対応してくれないところも何社かありました。


当初、私は素人考えで「アンカット印刷なんて、普通なら断裁する箇所をそのままにして製本するだけのことだ。断裁が一工程少なくなるのだから、かえって安くなるのじゃないか」とさえ思っていました。しかしたとえ工程が減る場合でも、「普通と違うこと」はどうも嫌がられるようです。問合せを重ねるうちにそれが分かってきました。


でも、そんな中でキョウユウだけは「できると思います。やってみましょう」というアンカット製本に前向きな姿勢を見せてくれました。見積もり金額も通常印刷の約1割増しという妥当な金額でした。「ここに頼めばアンカット印刷が実現する」、そう確信できたのでキョウユウに依頼することに決めました。

サンプルがあったので実感が湧いた

- その後、印刷はどのように進めたのでしょうか。

まずキョウユウは、アンカット印刷の束見本(つかみほん)を無料で作ってくれました。束見本とは、印刷せずに製本だけ行った見本、つまり真っ白な紙のサンプル本です。


その見本を見ると、確かにアンカットになっています。ためしにナイフを入れてみると、とても良い切り心地でした。これはいい、本印刷もぜひこれと同じに作ってくださいとキョウユウに依頼しました。


アンカット印刷の束見本を手にする熊倉千之さん

キョウユウからひとこと。アンカット製本は本当に面倒なのか?

- ここでキョウユウ 菊地さんに質問です。キョウユウにとってアンカット印刷は面倒ではありませんでしたか。

いえ、特に面倒はありませんでした。熊倉さんのいうとおり、アンカット印刷は、ページの断裁の工程を1つ省いているだけのことであり、特殊な技術や設備は不要です。


そもそも昔はフランスの普通の印刷会社が普通に作っていた製本方式なのだから、日本の普通の印刷会社にとっても、やればできるに決まっているわけです。


しかし現場の印刷オペレータにとって、「いつもと違う作業手順になる」ことは事実です。一般に、現場の職人は「自分のいつもの仕事の手順を変えることに、すごく抵抗する傾向」があります。熊倉様が他の印刷会社で「そういうことは普通やらないので…」と言われたのは、たぶんそれだと思います。


ですが弊社は「相談できる印刷会社」を名乗っています。営業の私から現場の印刷技術者まで全員が、お客様のご要望には「とにかく試してみよう」「すぐに『できない』と決めつけないようにしよう」「どうすればできるのかを考えよう」という気持ちで仕事をしております。


今回のアンカット製法についても、現場オペレータが手順を工夫し、束見本、本印刷のいずれもスムーズに進行できました。できあがった本が熊倉様にお喜びいただけて幸いです。

データ制作はどうやって?

- ふたたび熊倉様に質問です。アンカット製本をおこなう場合、印刷データ(版下)も特殊なものを作る必要があると思います。データはどうやって作ったのですか。

全部、自分で作りました。


使ったソフトはInDesignです。都心のパソコンスクールに通って操作方法を学び、レイアウトやフォント調整などすべて自力で行いました。


データ制作のときは自分なりの「遊び」も採り入れました。具体的には、袋とじの外の部分、つまりナイフで切らなくても読める部分は、「その続きを読みたくなるような文章」「袋とじにナイフを入れたくなるような文章」が来るように、工夫しました。そういうレイアウトにすれば、本にナイフを入れずにパラパラめくるだけでも内容を楽しむことができます。


キョウユウのみなさん、今回はアンカット製本という私の希望をかなえてくださり誠に有り難うございました。これからもう一冊、またアンカット、『漱石のどんでん返し――『坑夫』から『明暗』への友愛世界<220=284>』というタイトルで自社出版します。その本も印刷はキョウユウにお願いするつもりです。引き続きよろしくお願いします。

熊倉千之様とキョウユウ菊池

※取材日時 2016年11月

※取材制作カスタマワイズ

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